中岡との打ち合わせ後の話

(書き手:古瀬)

古瀬とプロジェクトをやっていて思うこと①」を読んで、ふと、前回の打ち合わせ後のことを思い出したので、そこからつれづれに書き始めてみようと思う。


中岡が言うように、僕らは打ち合わせ後にも平気で2時間以上も話し合っていることがある。前回もそうだった。


「そーいえば、この前の現象学の本、全部読んじゃったわ」(中岡)

「まじか、俺、まだ、一章も読み終えてない・・・」(古瀬)


少し説明する。前に中岡から「この本で読書会やろうよ!」とメールが来ていて、僕はそれに乗った。「とりあえず、一章ずつ」という話で。結局は、僕の方は全く読み進まず、中岡の方は読み切ってしまった。そういうことである。

『これが現象学だ』(谷 徹,2002,講談社現代新書)


「え、じゃ、ちょっと、どんな感じだったか教えて!」と、僕は言った。難しそうな本を読み切れなかった者が、読み切った者からその本のエッセンスを貰おう、という魂胆だ。でも、それだけではない。それ以上に聞きたかったのは、本の内容よりもその本を読んで中岡がどう捉えたのか、である。中岡は紙とペンを出して図解で現象学について説明してくれた。なんとなく分かったが、まだ、なんとなく分からない。僕は具体例に置き換えて理解したくなり、日常での様々な具体例を考え始めた。「例えば、時間が早く感じたり、遅く感じたりすることがあるけど、これを現象学的に考えると、どんな感じだろ?」と言った具合にだ。


そんな話をしていたら、気がつくと、僕らの話題は「時間」のことになっていった。


「時間の伸び縮み」を現象学的アプローチで考える

僕は、かつて中学生の頃、一度だけ映画のように時間がスローモーションに感じたことがある。学生時代、男子達が教室中で走り回り、ドア付近でドアを開けたり閉めたりしてふざける光景に見覚えがある方もいるかもしれないが、その一人が僕である。ある時、遊んでいる時、半分ガラスのそのドアが外れた。その瞬間から僕のスローモーション体験は始まった。一番近くにいた僕は、それが地面につく前に止めようと片腕を延ばす。ドアの重みを腕全体に感じる。片腕では到底支えられないことを瞬時に悟る。諦めて、腕を引く。ドアは地面に叩きつけられ、ドアのガラスは割れる。割れた瞬間、スローモーションは終わる。たかだか1〜2秒の話だ。だけど、僕の実感はもっと長かった。僕には、そういう経験があった。


例えば、こんな体験話などを掘り起こしては、「時間の伸び縮み」に関して、僕らはおしゃべりする。こんな具合に話しているから、平気で2時間以上も話してしまうのだ。時間はその日もあっという間に過ぎていた・・・


ここで面白いと思えるのは、今まさに体験したばかりの「あっという間に過ぎていた」という体験“そのもの”である。これは時間体験でもあるので、それを一つの学習素材にして「時間」について再び考えていくことができるのだ。これこそ、いま私が体験した現象から捉えていこうとする「現象学的アプローチ」であり、この「ワールド・カフェ・デザイン コミュニティ」で大事にしたい進め方「体験学習のサイクル」にも通ずることだと思う。


問いは作るものではなく、発掘するもの

さて、帰ろう。夕方近くになって、やっと僕らは店を出た。それでも、二人の「時間」についての話(というより、探求)は終わらない。歩きながら、二人は話し続ける。


「いやー、これを考えるには、相当時間がかかるね」(中岡)

「そりゃー、そーね。だって、僕らの根底にあった問いは『時間とは何か?』とか『時間とはどういうものか?』というような、あまりにも大きな問いだったから」(古瀬)

「ああー、時間の発生起源に遡りたいわ〜」(中岡)


こんな言葉を交わしながら、改めて僕は気づいた。僕らは、明確に「問い」を共有していないにも関わらず、一つの何か大きな問いのようなものに向かって一緒に思考していることがよくある。そして、いきなり「時間とは何か?」なんて考えられないから、「時間が早く感じる時と遅く感じる時ってどう違うのかな?」とか「時間って、どう始まったんだろう?」とか、様々に切り口を変えながら僕らは思考を続ける。(これを僕は修士論文では「周辺の問い」と呼んでいた)


つまり、問いが明確に言葉で表明されてなくとも、そこには「問い」がある。少なくとも、僕にはそのように感じられる。だから、問いは「作る」ものではない。既に存在しているものを「発掘する」ものではないかと僕は思う。この時の中岡とのやり取りで言えば、僕らが会話している最中に、僕らの見えない水面化で問いは自ずと生まれた。勝手に。(それか、元々そこにあった)そして、その問いは僕らに強い影響を与え続け、あらゆる問いにも派生させていった。僕はそんな風に捉えている。


さて、話は散々に飛んでしまったが、ワールド・カフェでは問いが肝になる。ワールド・カフェの問いも、僕には同じように思えてならない。場の目的や参加者の設定などから、そこに自ずと問いは生まれてくるものではないだろうか。それを「発掘・発見していく」そのプロセスが問いづくりではないだろうか。ワールド・カフェ・デザイン コミュニティでは、そんなことを喧々諤々話し合えればと思っている。


2016.8.26 古瀬正也


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