ワールド・カフェの席替えの構造

こんばんは。ワールド・カフェ・デザイン コミュニティ共同主催者の古瀬です。今日は、僕が大学院生の頃に書いた修士論文の中の「ワールド・カフェの席替えの構造」についてチラッとご紹介します。


思考の傾向やパターンをついつい探ってしまう

(もう既にご存知かもしれませんが)ワールド・カフェでは第一ラウンドが終わった後、一人は「テーブル・ホスト」として残ってもらい、他のメンバーは「旅人」として他のテーブルに散けて席替えをします。以下はその時の図です。(各4人、4テーブルの場合)

ここでは細かい記号の前提等は説明しませんが、第二ラウンドのメンバーの背後にある3つの丸は「第一ラウンドで直接関わった人の数」を示しています。つまり、第二ラウンドでは、それぞれが前のラウンドでの「自分以外の3人分の二次情報*」を持って集まっていることになります。なので、第二ラウンドでは、新たに自分以外の「3人の直接情報」とその3人の背後にある「9人分の二次情報」に間接的に触れることになります。


(*二次情報とは、誰かが言っていた、本で読んだ、TVで見た、インターネットで読んだ、 というような、他の第三者を介して得た情報のこと)


これがワールド・カフェでよく起こる「ああ〜、さっきも、そんな話が出たわ〜!」に繋がるわけです。そして、この一言は思っている以上に重要で、というのも、この一言が言えるということは「さっきの話と今出た話を比較している状態」にあるからです。似た意見や異なる意見を瞬時に区別し、分析している。そう言ってもいいのかもしれません。


つまり、ワールド・カフェはその席替えの構造上、人々の思考の傾向やパターンをついつい探ってしまう、そういう仕掛けになっている。


これだけの情報の影響下にある

さて、では次に、第三ラウンドに最初のテーブルに戻った時の図を見てみましょう。

より複雑になった感じがしますよね。最初のテーブルに帰ってきた旅人は、それぞれに新たな「3人分の直接情報」を仕入れている上に、その3人が持っていた「9人分の二次情報」を(間接的に)持ち帰っている、そういう図です。


もちろん、情報の漏れはあります。席替えするごとに全ての情報を共有するわけではないので。しかし、明確に共有されていない(表に上がっていない)情報があったとしても、各ラウンドであらゆる情報に触れてきた<私>は、ある意味では、以前の「私」ではないと考えることもできます。なぜならば、各ラウンドで関わってきた人たちの考え方やアイデアや価値観を聞いてしまった後の<私>なのですから。


そのように考えると、最初のテーブルに戻る形式でワールド・カフェを実施した場合、第三ラウンドでは、これだけの情報の影響下にある、とも言えそうです。


だからこそ、ワールド・カフェでは集合知が生まれやすい。各ラウンドを経て、自分の内部で(または、模造紙の上で)蓄積された情報をじっと深く洞察する。すると、ふとした瞬間にある共通点やそこに流れている関係性や規則性が発見されることがある。それは集合知を発見する瞬間であり、共に知を紡ぎ出す瞬間でもあるのです。


これが面白い。そして、これがワールド・カフェの醍醐味ではないかと、そう僕には思えるのです。


2016.8.30 古瀬正也


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