問い化(questionalization)
「D'où venons-nous ? Que sommes-nous ? Où allons-nous ?」
P. Gauguin 1897
「問い(question)」が問題なのではなく、「問い化(questionalization)」が問題なのだ。
ワークショップデザインにおいて、問い(課題)の設定は最重要項目であり、ファシリテーターのプログラムデザインの真価が問われるところであろう。
一昨年から、「問いのデザイン」の問題は古瀬と取り組んできた。(その過程の一部は拙論「対話型ワークショップの問いのデザイン過程に関する研究」を参照)
いまやはっきりと言えるのは、「良い問いとは?」とか「優れた問いとは?」という問いの立て方はそもそも間違っているということである。問題なのは「問い(question)」ではなく、「問い化(questionalization)」である。
わたしたちは、現実を生きている。現実は、出来事の連なりと別のその連なりの非意味的連結による偶然としての出来事の現実化によって形成され続けており、その最中でさまざまな境界が形成されては、消滅し、再度形成される、という永遠である。わたしたちは、その様相を関係と言ったり、システムと言ったり、ネットワークと言ったりしながら、現実そのものをなんとか言葉にしようと、そして、決して埋まらない溝、現実とその記述との間にある距離の不可避性を引き受けながら、生きている。
わたしたちは方法としての「問い(question)」を求めているが、あらかじめゴールを知らない。対話において、対話する以前に、自分たちが何を知りたかったのか、を知ることはない。対話が完結したときに、自分たちが何を知りたかったのか、を十全に認識する。そして、それを対話だという。
方法とは、あらかじめ語ることも定めることもできない。方法とは十全な認識に至ったときに、反省的に認識されるものでしかない。
それゆえ、「問い(question)」を目的として、そこに目指そうとする方法はすべて誤りである。問題は「どんな問いをつくるか」ではなく、われわれが「問い化(questionalization)」することであり、そこには反省的に認識されたものはあれど、方法にはなりえない。その経験的束は方法論であって、現実の方法ではないのである。
ワークショップデザイナーは、「問い」ではなく「問い化」の問題に取り組むべきである。わたし(たち)がどのようにして「問い化」するのか、それが重要である。
主体や対象をあらかじめ措定せず、目的と方法を虚構せず、われわれ自身が問い化すること。おそらくそれがワークショップデザインの最重要問題である。
2017. 2. 1. WCDC共同代表者 佐々木 晃也(へるめ)
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